世界の北野
ギャング映画を封印し、
撮った映画はギャグ映画。
とでも言ったところでしょうか。
前半は、短編をあれこれ撮っていく監督の葛藤、というか、
脚本さえマトモにセレクションすれば、どんな映画でも撮れそうだなー、
と思わせるほど、技巧的には問題なさげで。
でも、セレクションしてくる脚本が、どーもギャグ路線。
映画好きに贈る…というか、
いろんな映画をパロってるから、元を知ってたほうが楽しめるというか。
後半はそれでも1本のストーリーにまとまってくるんだけど、
前半であれこれやったことが伏線として絡んできたりして。
北野の脳と、ビートのスタンスがミックスされた、
アタマを使うバカ映画、とでも言ったところでしょうか。
単純に笑うもヨシ、複雑に絡むストーリーを追うもヨシ、
っていうのは微妙にニッチな気もしますが(笑)
秒速5センチメートル
lowteen、highteen、そして成人と、
初恋的な純情を綴る3連作。
現代的大人になるにつれ、忘れていくような切なさと言うのかな、
ほのかに甘酸っぱくてかつほろ苦い世界、とでも言うのかな、
大作映画的な「おぉっスゲェ~」というのは無いけれど、
心に響く名作ですね、これは。
主人公は僕だった
実体験をベースに脚色して、自分を主人公にして小説化する…
というのは聞く話ですが(以前、筆者もやったことがあります ^^;)
これは、別の誰かが書いている(進行中の)小説とリンクしてしまう男の話。
しかも…小説のエンディングは、主人公は死んでしまうという筋書きで。
迫り来る死の運命、死に対する葛藤、
そのカギを握っている小説家へのアプローチ…
意に反して何かを失いつつある時の、ヒトの行動。
それが空想の世界だけの出来事なのか、
現実とリンクしている出来事なのかは定かではないけれど、
誰かの運命の鍵を握る立場。
ヒトは果たして、誰かに対して悲劇を突き付けることが出来るのか。
心の深淵を覗き込むようなストーリーですね。
海賊戦記
最近、前評判ばかりで実際はちょっとイマイチ…な感じの
大作、超大作、続編モノがいろいろあったような気もするんですが、
本作品はなかなか良かったと思います。
まぁ、ここ最近観た何作かの続編モノと同様、
シリーズ前作を観ていない、あいかわらずの筆者ではありますが(汗)
ファンタジー冒険活劇的なバランスも取れてるし、
ヒロイックサーガに偏ることなくエンターテイメント性も確保してるし、
まぁ恋愛系のシーンがPG12以上にLiteなのはDisneyだからでしょうけど。
予備知識無しでも楽しめる作品ですが、
剣と魔法の中世ファンタジー世界のお約束、を理解してると、
より深く楽しめるんじゃないでしょうか。
ザ・シューター
特殊な技術を、利用する側される側。
それが特殊であればあるほど、ろくなことに使わない輩も出てくるわけで。
ろくでもない輩に、いかにして制裁を加えるか。
そこにもまた、同じ特殊技能が活用される。
そして、制裁される側となったろくでもない輩は、
保身に走ろうとして多大な犠牲を出し、
エゴと共にその身を砕かれ、無様で惨めな姿をさらしていく。
しかし、この作品を見ると、
バベルで、ライフル試し撃ちで遠距離のバスを撃ち抜くのって実際どーなのよ、
とか思ってしまいますが。
普通当たらないよなー、そんな距離。
しゃべれども しゃべれども
落語好きな筆者ですこんにちは。
でも、今回は、落語家というキーワードではなくて、
予告の
弟子)こっちは聞いて欲しくて喋ってるんです
師匠)解って無ぇなぁ
に惹かれて見に行った感じですね。
待ちきれなくて原作小説も読みました(笑)
何というか、
何かを伝えよう見せようと気負い藻掻いている状態と、
精一杯演技しきることだけを思って行動している状態と。
一見真剣にやっているように見えるモノほど実は片手間で、
片手間にちょいちょいとしかやってないんじゃないかと見えるようなモノのほうが本人は真剣で。
ボラット
ボラット。
賛否両論大暴れ。
何というか、元気が出るテレビとか電波少年とか的な感じというか、
突撃度と無遠慮度と、世間(先進国/アメリカ)とのギャップと。
都会的に築き上げられた世界から見ると、おもいっきり異質。
でも、その異質さが故に、
マトモだと思いこんでいた方の世界の中に埋もれた異質さにもまた、
スポットライトが当たる。
異文化コミュニケーションの不整合の話という意味では、
ある意味バベル。
シリアスに描くか、コメディ化するかの違いは大きいけれど。(笑)
でもなー…
やっぱ笑いよりも不快感のほうが大きいですね、筆者としては。
もうちょっとこう、相手の文化を知ろうとする姿勢がある中で
ギャップが描き出されていれば…と思いました。
眉山
イベントで六本木ヒルズの麓まで来たついでに、
TOHOシネマズ 六本木へ。
まぁ、毎度のことですが(笑)
今回観たのは、眉山。
半端なスタンスで生きる人々に対して啖呵を切る。
切った啖呵に付随する責任を背負って、気丈に生きていく人。
かの娘の母。
お互いに、ある前提に沿って、
核心は一切口に出さずに会話を展開する。
かの娘の父。
こういう、なんて言うのかな、
会話に乗らない部分での繋がりというか絆というか、
コミュニケーションというか、そういうモノ。
鈍感力とか、空気読めない、読まないとか、
あるいは空気嫁とか言って状況を強要したりとか、
そういうある種現代的というか、気配りの低下した最近の世界に対して
人同士の絆とか心とかを喚起しているような感じ。
先日観た東京タワーとはまた違う、
更に深い場所、見えない部分にある絆や愛情、とでも言うのでしょうか。
焼肉Movie
プルコギ。
ってタイトルの割には、
主に出てくるのはカルビグイとかコプチャンとかなのですが(笑)
まぁ、どれも焼肉、ってことで。
赤肉vs白肉、焼肉Battleコメディ。
もちろん、そこには人間ドラマもあるんだけれど、
全般的にコメディタッチなので、
アタマ使わずに笑いながら入っていける世界ですね。
あー、
肉たべたくなった。肉肉肉。
…でも夜中だよ。明日にしよう(笑)
オカンとボクと、
TOKYO TOWERをTitleに据えた、
あるいはKeyとなるシーンに登場する作品って多いですが、
それだけ、人々に「大都会東京の象徴」として愛されてる建造物なのでしょう。
筆者、東京に対して、あまり大都会とか、夢と希望が云々とかいうイメージは無いのですが、
上京して一発咲かせる的なスタンスから見ると、
東京上空から電波を発信する東京タワーに、何か感慨があるのでは、
というのはわかる気がします。
さて、
そんな夢と希望を胸に、家族とか愛情とかは田舎に置いて上京してしまった若者たち。
夢という向心力に翻弄され、一喜一憂し、あるいは地を這う中で
不意に加わった「田舎の愛情」。
この映画のHeartWarmingなところは、
そんな人間関係、愛情の描写にあるんだろうなと。
あしたの私のつくり方
理想を小説化する人、
小説化された性格に沿って生きる人、
それぞれの、本当の自分とは。
何を受け容れて生きたらいいのか、
自分自身の芯と外から受け容れたものと、どう折り合いを付けたらいいのか、
そんな悩みに浸み渡っていくような映画ですね。
何を演じるか迷っている自分も、
何か違うなと思いながら演じている自分も、
これこそ自分!と思って演じている自分も、
そんな殻なんか全部脱いでしまった素の自分も、
ぜーんぶまとめて、自分なんだ、と思えた時
何か大きな荷が降りるかもしれません。
神童
神童も 20歳過ぎれば 只の人
なんて言葉は置いといて(笑)
神童。
天才的なピアノ奏術を持った子供。
本人は、楽しく演奏できればそれでいい、というスタンスだが、
周囲の大人のエゴは、折角の技術なんだから、とばかりに
商品化、金銭への変換、将来性という名の人生絞り込みへと仕向ける。
楽しかったことに嫌気がさす瞬間。
でも、演奏することが楽しいという根本までは変わるはずもなく、
エゴの影響下にない場所ではまた、楽しく演奏する。
楽しいことをした結果に付いてくる名誉や食い扶持ならともかく、
富と名声を追いかけてしまうと、楽しさなんかどこかに消え失せてしまう。
昔、
音楽とは、音を学ぶのではなく、音を楽しむのだ、
という話を聞いたことがあります。
音楽に限らず、何でも一緒だと思うんですが、
やっぱり、世の中楽しんでナンボだなぁ、と
あらためて感じました。