ブラックボックス展に物思う
ブラックボックス展が終了したとのこと。
同時に、ネタバレ禁止の制約が解かれた観覧者からのコメントが噴出しているようだ。
さて、筆者はネタバレ禁止の誓約書の外側の人間、
つまりこの展示を体験していない身である。
これは即ち、観覧者群の観察者という立ち位置である。
始まったばかりの頃の5.15、筆者はTwitterにこんなことを書いている。
何度聞いても十三間の大灯籠感しかない…うぅむ…
展示を体験していないので、真実を射貫いたかどうかの検証手段はない。
代わりに、仮に真実だとしてもネタバレ禁止誓約の外側なので咎められない。
そして、その投稿にはなかのひとよ氏のアカウントからいいねが付いていた。
ところで、十三間の大灯籠とは何か。
筆者がこの話を耳にしたのは遙か昔、落語の一節なのだが、
最近めっきり見かけなくなってしまった「見世物小屋」の出し物である。
現代で見世物というとどうしても直接表現として珍妙なモノというイメージがあるが、
ここで登場するのは「頓智の効いたオチ」なのだ。
13間つまり24mほどの大灯籠、
そんな大仏さんみたいなモノがこんなところにあったかな…
そう思いつつ入ってみると、路地の向こうとこっちに幕が張ってある空間に通されて。
さぁ13間、早く通ろう、早く通ろう、なんて通過しちゃう。
ネタがバレてしまえば「なんだそんなもん」なのだが、
「スカッと騙されて頓智の答えに感心する」というエンターテイメントを楽しんだ、
と考えればこれも1つの娯楽である。
さてさて。本題に戻ろう。
ネタバレ禁止のブラックボックス。
この条件を満たすモノとは何か。
ネタバレ禁止、真実をバラすべからず、
そう言われている中で流れてくる、体験談と称する情報の真偽。
事前に見抜けず引っかかった悔しさと、
巧妙に騙されたことに対する爽快感と。
そして、それを知人にも体験させようとする心情と。
そういう諸々を全て飲み込む単なる完全な闇の空間だったのだろう、
というのが、筆者の推測。
…なかのひとよ氏は現代を基準とした未来人などではなく、
過去を基準とした未来つまり現代人のひとりであり、
「現代で既にロストテクノロジーに属するような諸々の中にも良いモノはある」
ということを現代に伝えようとするメッセンジャーなのではないだろうか。
最後に一つ付け加えておこう。
ブラックボックス内で痴漢が発生した、という話も流れ聞こえてくる。
完全な闇の空間と仮定すれば、その空間で悪さをしてやろうという輩も紛れ込み得る。
しかし、輩からしても完全な闇であり、対象選択という意味ではほぼ無作為通り魔。
この輩が仮に居たとして、老若男女問わず襲っていたのか、
それとも初期接触段階でエスカレートさせうる反応をした相手を選んで襲ったのか。
ブラックボックスなだけに真相も闇の中なのがもどかしいが、
一般的な安全という土台は犯罪者の混入により容易に崩壊し、
犯罪者の混入を積極阻止しようとすれば一般人全員を疑う取締ゲート設置にもなりかねない、
そんなことを思った筆者でした。
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